表現することとは…

こんにちは、東京自立研修センターです。

 

小学校から不登校になり、その後引きこもりとなってしまった研修生のYさんは、センターに来て以来、人前でマスクと帽子を外すことができません。

何度も促していますが、なかなか外すところまでいかない状態です。

人に見られたくない、自分を見せたくない、そうした根底にある思い=不信感のようなものの表れなのでしょうか。

どうしたら外すようになるのでしょうか。

 

ふと、イソップ物語の「風と太陽」を思い出しました。

風と太陽が賭けをします。今度通りかかった旅人の上着をどちらが先に脱がせられるか。

最初は風が思いきり突風を吹かせ風の勢いで脱がせようとします。しかし逆に旅人は決して脱ぎはしない、と上着の襟をしっかりと重ね合わせます。次に太陽が、燦々と光を浴びせます。旅人は暑くて汗をかきはじめ、とうとう上着を脱いでしまった、という話。

 

暑いから脱ぐ、という自然の摂理をそのまま利用した、というだけなのですが、無理やりやらせようとするのではなく、この自然に自ら動くようにする、というのがミソですね。

果たして、そんな上手い方法があるのでしょうか。

 

暑い寒いは体を守るために必要な情報です。

そう、生きていくために必要なこと、と言ってもいいでしょう。

 

もしかしたら「マスクと帽子を取ること」が、生きるためにどうしても必要なこと、ということを伝えられれば外す気持ちになってくれるかもしれません。

 

この生きるために必要なこと。

体が生きるため、というよりは、心が生きるためです。

本当に心から生き生きとできるようにすること。

 

本来のそれぞれの目的は何でしょう。

帽子=寒さをしのぐ、頭を守る。

マスク=細菌やウィルスの侵入を防ぐ。

どれも、Yさんの根底の思いとは違います。

 

そして、帽子に隠れた額や眉、マスクに隠れた口は、

機能としては、目を守ったり喋るためのものですが、笑ったりへの字にしたり、表現するために使われます。気持ちを表す手段でもあります。

その表情をお互いに見ながら会話をするのと、大半隠れて会話するのとでは、印象も伝えたいことも半減以下になるでしょう。

 

それはこれから本格的に世の中へ出るときに、コミュニケーションの妨げになると同時に、せっかく持っている能力を使わない、ということになり、とっても勿体ないことです。

 

どうせ頼るなら、帽子やマスクではなく、Yさんらしいヘアスタイルやニッコリとしたその口元を頼ってほしい。ぜひ、このセンターにいるうちに、表現する手段として使えるよう、心のタガを外してほしいと思います。

 

東京自立研修センター
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